レビューブログ【レブログ!】

映画、アニメ、ドラマ、マンガ、書籍、英語読書の感想(ネタバレなし)が5000件以上!


ゲームデザインプロフェッショナル 誰もが成果を生み出せる、「FGO」クリエイターの仕事術

スクウェア・エニックスやディライトワークスといった
人気ゲーム会社での開発経験を持つ筆者が、
面白いゲームを作り上げていくために
企画設計にどう取り組んでいくべきかを解説したもの。


ゲームのルールや設定、世界観やキャラクターなどを決め、
作品に対して大きな影響を与えるゲームデザイナーや
プランナー、ディレクターといった立場の人間が
どういう考え方と視点で判断すべきかがまとめられている。


実際に作業をするのはプログラマーやデザイナーだが、
その前段階でどう仕様を煮詰めていくか、
彼らにどのように指示を出すかという部分が語られており、
趣味で創作活動をしている場合ではなく
仕事として成果を上げる視点に非常に納得できる。


企画部分を担当する関係で抽象的な説明も多いが、
感覚で作ってしまいそうな部分をきちんと言語化されており、
ゲームを面白くすることについて
センスではなく理屈として書かれていて参考になる。


また、チャプターが短く分けられているので
本としてサクサク読めるようになっており、
ゲーム業界を目指す学生にも薦めやすい内容。


外すことが許されないビジネスの現場を通して練られた
ゲームデザインで失敗しないためのマニュアル。


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誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち

大量の音楽が簡単に手に入るようになった現状に至るまで
どういう経緯があったのかをまとめた記録。


CDの全盛期から始まってMP3形式の開発と普及、
ネット上で共有される違法データの流通など、
1990年代から2010年あたりまでの音楽業界の内容が
それぞれの関係者の視点から語られており、
単なる歴史書とは違った生々しさがある。


アメリカ市場を舞台にしていることと
いろいろな専門用語と人名が出てくるので
当時話題になった様子を知っている方が理解しやすいが、
ある場所で始まった技術や行動が
ジワジワと一般市民の生活に影響してくる様子が面白い。


読み応えはチャプターによって差があり、
発売前のCDを流出させる過程や
世の中に違法データを共有する手段の構築などは
犯罪の手口が細かく読み取れて刺激を感じる。
よくここまで詳細を明らかにしたものだと感心する。


翻訳本独特の読みにくさはあるが、
音楽業界の変化に興味があるなら読んでみてもいいだろう。

残像に口紅を

作家である主人公が友人と共謀し、
言葉が少しずつ失われていくとともに
その文字によって表現されていたものも
消失していく世界を体験する話。


50音に濁音・半濁音を加えた言葉がランダムで少しずつ消えていき、
それに伴って世の中から物体や概念や表現が失われていく話だが、
その内容を伝える文章自体も
残存する文字だけを使って書かれているのが面白い。


使用頻度の低そうな文字から消えていくのは仕方がないが、
一番最初に消えるのが「あ」で、
以降、この音が本文で一切出てこないという不思議な感覚は
本作でしか味わえないものだろう。


消えてしまったあとはその文字が使えなくなるため、
人名に対して事前に意識しておかないと
誰が消えたのかハッキリしないという不便さはあるが、
一般的な呼び方ができなくなっても別の言葉で表現したり
回りくどい言い方で伝えようとするノリも新鮮。


かなり実験的な作品で、言葉が失われても
どこまでの内容が表現できるのかという意味では興味深いが、
反面、表現に制限が出るためにスピード感や娯楽性が犠牲になる。


ストーリーとして惹きつけられる部分はあまりないので
あくまで新しい試みを体感するための作品。

今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校

自衛隊の幹部自衛官を目指す学生たちが過ごす
防衛大の生活を思い返したエッセイ。


4年間を寮で生活するというだけでなく、
学年による上下関係や特殊な慣習など
独特の環境が面白おかしく語られていて、
防衛大がどういう教育訓練を行っているのかがよくわかる。


短いエピソードがたくさん詰まっているので
サクサクと読み進められてテンポもいい。
文字だけなのににぎやかな生活の様子が伝わってくる。


テレビで自衛隊の活動を見かけることはあっても
彼らを育成する学校の内情を知る機会はなかなかないため、
厳しい環境を興味本位で垣間見れる1冊。


【関連作品のレビュー】
あおざくら 防衛大学校物語(マンガ)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

将来の希望が持てないまま漫然と暮らす中学生の少女が
都会から来た変わり者の転校生と交流していく話。


限られた世界で生きる中学生らしく、
家族と友人程度しか登場しない世界観で、
不自然な言動を繰り返す転校生の背景が
少しずつ明らかになっていく展開。


ただ、キャラクターには魅力を感じることができず、
予想通りの人物像が明らかになっていくだけという印象だし、
筋書きについても冒頭で明かされた結末に向かって
じわじわと近づいていくだけなので、
世間の評判に見合うだけの面白さを味わうことができなかった。


「弾丸」という表現やウサギの件など、
明確に説明せずモヤモヤさせる要素がある一方で
ストーリーについては特にひねったところがなく、
引き込まれるような部分が見つからなかった。

同志少女よ、敵を撃て

第2次世界大戦中のソビエトにおいて
ドイツ軍に家族を殺された少女たちが
狙撃兵として訓練を積んでいく話。


ドイツやルーマニアと戦ったソ連の戦史をベースにしているが、
小難しい話はそこまで多くはなく、時間を飛ばしながら
見応えのあるシーンをテンポよく拾っていく構成なので
普段あまり小説を読まない人でも入り込みやすい作風。


女性兵ばかりで構成された狙撃手専門の部隊を軸に
その厳しい訓練の様子から実戦までを描いていくが、
読者が期待するような王道の場面と展開が多く、
スターリングラード」や「アメリカン・スナイパー」のような
興奮するビジュアルが次々と浮かんでくる。


戦争を題材にしているので残酷なシーンも多いが、
あくまでエンターテインメントに焦点を合わせており、
感情移入しながら気持ちよく読めるよう仕上げた作品。

お金のむこうに人がいる

社会におけるお金の役割や存在意義を
予備知識なく直感的に理解できるよう解説したもの。


社会経済をお金ではなく労働力の観点から考えることで
これまでと違ったイメージでとらえるという発想は面白く、
お金が行き来することでどういう影響が生まれるか、
それが人々の生活にどう関わってくるかがよくわかる。


いろいろな要素が複雑に絡む経済の世界を
グッとシンプルに考えることで
固定観念を打ち砕く感覚が得られるが、
バッサリと単純化されている話の中には
いくつか納得しにくいところもあった。


柔軟な視点で世の中を見つめ直せる本。

管理職1年目の教科書

自分が管理するチームの成果を最大化するために
リーダーとして変えるべき言動や習慣をまとめたもの。


メンバーを育成してチームの戦力を強化し、
生産性を上げていくためのポイントが
36のルールという形でストレートにまとめられており、
管理職でない人にも参考になる内容。


部下の心理や行動原理を踏まえた注意点が多く、
各自の能力を引き出して
無駄なく迅速に成果を生むチームを作る
有能なリーダーになる秘訣が凝縮されている。


これまでの実績を買われてリーダーに選ばれた人が
個人ではなくチーム全体を見る視点に切り替え、
部下を成長させるための手法を学べる入門書。


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任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代

横井軍平が任天堂に入社してから手掛けた
おもちゃや、アーケードゲーム、ゲームウォッチ、ゲームボーイなどの
着想のきっかけや工夫した内容をまとめたもの。


本書の18年前に発売された「横井軍平ゲーム館」と同じ作者によるもので
その内容もかなり似通っているため、
同書を読んだことがある人にとっては新鮮味が薄いが、
横井軍平の考え方やポリシーが伝わってきて刺激を感じる。


今となっては古い商品ばかりだが、
モノづくりに関わる人なら
新しいものを生み出す工夫が楽しめる内容。


【関連作品のレビュー】
横井軍平ゲーム館


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いじめの構造 なぜ人が怪物になるのか

学校の中で起きたイジメの内容と
そこに働く心理を解説したもの。


過去に起きたイジメの事例は興味深く、
その残忍さを具体的に知ることができるが、
そこに働く心理的なメカニズムの解説が難解で、
文章を読んでもイマイチよく理解できなかった。


筆者は大学の准教授ということだが、
まさに大学の授業のような論調が延々と続くばかりで
何を言いたいのか読み取れない部分が多い。
たまに挿入されている図も異様にわかりにくく、
単語や文章の意味がひとつも伝わってこない。


イジメの原因や解決策を知ることができるかと思ったが、
とにかくとっつきの悪い文章で期待外れな内容だった。

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