レビューブログ【レブログ!】

映画、アニメ、ドラマ、マンガ、書籍、英語読書の感想(ネタバレなし)が6000件以上!


ミライのつくり方2020-2045 僕がVRに賭けるわけ

VRのハードウェアやコンテンツに可能性に見出し、
日本で普及させようと奔走してきた筆者の経緯をまとめたもの。


いくつかあるVRゴーグルの中で
特に「Oculus(オキュラス)」を軸に書かれているが、
収益面の見通しがないうちからその普及に努力し、
ひたすら情熱を持って行動を起こしてきたことがわかる。


今では十分に話題になっている商品だが、
日本市場への期待の低さや会社組織の構造から
なかなかうまくいかなかった苦労や状況が伝わってきて
スタートアップ企業の難しさが追体験できた。
前半はそういったビジネス書としての傾向が強い。


後半はVR機器が普及することで起こる
社会変化について書かれているが、
まだ未知数の部分が多すぎるので
あくまで著者のいろいろな発想を味わいたい人向けだろう。


新しい知見を得るには物足りないが、
VR機器の可能性を感じたい人向けの本。

図解 経済入門 基本と常識

経済に関する仕組みや用語を1から説明したもの。


社会科の教科書としてそのまま使えそうな内容で、
経済や金融に関する基礎知識を解説している。


説明する内容を見開き2ページの単位にまとめ、
解説が1ページ、図が1ページと
バランスよく配置されたレイアウトが読みやすい。


誰もが知っておくべき経済の基本について
サクッと読めるボリュームなので、
特に中高生あたりにオススメ。


こういった経済の基礎知識を身に付けたい人には
合わせて「未成年のうちに聞きたかったお金の話」も読んで欲しい。

忌録(きろく):document X

4つのホラー作品を集めた短編集。


収録作品
 ●みさき
 ●光子菩薩
 ●忌避(仮)
 ●綾のーと。


どの作品も事件について出所の異なる資料を
断片的に掲載している体裁をとっており、
それがリアリティと不気味さにつながっていて面白い。
文章だけでなく写真やデータなども雰囲気が十分で
実際にあった事件なのでは、と思わせてくれる。


まったく意味のわからないものもあれば
現場の状況を詳細に記録した内容もあり、
読み進めるにつれて少しずつ全貌が見えてくるのが怖い。


リアリティを重視するためか
残念ながら最後まで読んでも完全な真相は得られず、
もやもやとした落ち着かない状況で物語はぶつ切りになる。


読みにくいのに非常に惹きつける文章で
途中で中断できない不思議な没入感がある。
ホラー作品が好きな人はぜひ一度読んでみて欲しい。

宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話

マンガ「宇宙兄弟」に出てきたキャラクターやセリフをもとに
メンバーの強みを活かすチーム作りについて解説したもの。


チームメンバーを入れ替えるのではなく、
そのまま戦力として活かす方針なのは新鮮だが、
メンバーを自由に取捨選択できる状況は
そうそうないので実践的といえる。


第2章で挙げられている4つのリーダータイプは
各個人の適性を活かす方向性として非常に納得できる。
個人によって得意な部分は異なるが、
こうして見ると自分の役立つ場面を認識しやすい。


また、チームの発達段階を4つに分け、
各ステージでやるべき事柄がまとめられているのもよい。
チームの出来不出来をメンバー構成のせいにするのではなく、
ステージごとに状態や注意点が違うという視点が新鮮。


著者の理屈を「宇宙兄弟」の内容に当てはめているだけなので
特にマンガを読んでおく必要はなく、
成果の出せるチーム構築を目指す人のためのビジネス書。


【関連作品のレビュー】
宇宙兄弟(マンガ)
宇宙兄弟(テレビアニメ)
宇宙兄弟(実写映画版)

家賃滞納という貧困

賃貸物件の家賃を滞納して
法的措置を取られた住人たちの事例を紹介したもの。


滞納者への親身な思いが書かれているが、
読んでいる分には資金繰りに行き詰まっている状況なのに
なぜさっさと対処をしないのかが疑問でならないばかり。


深刻化する前に行動すればもっと楽なはずだし、
どうしようもない状況になっていながらも
家族に打ち明けたくないという
無意味なプライドを持つ滞納者には共感できなかった。


タイトルに「貧困」とはあるものの
特にそういった問題に対する考察や対処法は語られておらず、
ただ単に家賃が滞納された事例を紹介していくだけの内容。
経済的な話や賃貸物件に関する教訓は何も得られなかった。

仕事・人生で活かせる英語の名言135

偉人たちが残したいろいろな名言を
英文とともに紹介したもの。


生きる上での行動原理について
コンパクトにまとめられた名言ばかりで、
どういう想いで物事に取り組むべきかが語られている。


特にビジネスや自己成長に役立つものが多く、
また、異なる名言の間に共通する部分を感じるのが面白い。


ただ、英文よりも日本語訳の方が先に書かれており、
どうしても先にそちらが目に入ってしまうので
英文を読んだり英単語の勉強には不向き。


ひとつひとつの紹介や解説がコンパクトなので
短時間でいろいろな名言に触れたい人向け。

eスポーツ論 ゲームが体育競技になる日

テレビゲームの対戦プレイを観戦する
「eスポーツ」について解説した本。


2018年7月発売とeスポーツ関連の書籍の中では
かなり早い段階で発売されたものだが、
広すぎる行間と余白で、ページ数の割に内容が薄すぎる。


基本と言える情報しか出てこないので、
eスポーツについてまったく知らない人が
ざっくりと知識を得るぐらいの価値しかなく、
あえてこの本を読む理由はないだろう。

生涯投資家

村上ファンドを創設してさまざまな話題を集めながらも
2006年にインサイダー取引の容疑で逮捕された村上世彰
これまでの活動で抱いていた想いを振り返ったもの。


さまざまな企業の株を買い占めて話題になっただけに
買収や株価のつり上げによる利益目当てかと思われがちだが、
経営者に株主の存在を意識させ、
社会的に価値のある企業を増やしていきたいという
強い思いが伝わってきた。


ファンドとしての利益を意識しつつも、
閉鎖的で消極的な企業体制を
株主の立場から変えていこうという信念が感じられる。


テンポもよくて読みやすく、
株に関するある程度の知識さえあれば理解できる内容で、
投資が単なる金儲けのための活動でないことがよくわかる。
村上氏のうさん臭いイメージを一新させてくれる本。


【関連作品のレビュー】
いま君に伝えたいお金の話

経済ってそういうことだったのか会議

通貨や株、税金など、経済に関する仕組みや意義を
経済学者との対談形式で解説したもの。


「ポリンキー」「バザールでござーる」といったCMや
「だんご3兄弟」「ピタゴラスイッチ」などのヒット作を生み出した
佐藤雅彦氏が聞き手になっており、
それぞれの話題で読者の気持ちを代弁してくれる。


経済に関してマクロからミクロまで
噛み砕かれて説明されているので、
どんな仕組みがどんな影響を生むかという視点で
我々の社会を考えてみるきっかけになる。


また、2000年発行の本なので
この対談のあとに変化した社会情勢と比較すると
いろいろな深みを感じることができて面白い。


びっしりと文字が詰まった対談形式なので
本として読みやすくはないが、
経済の基礎知識と俯瞰的な視点を身につけられる1冊。


【関連作品のレビュー】
クリック
プチ哲学
毎月新聞
任意の点P
考えの整頓
ベンチの足
行動経済学まんが ヘンテコノミクス
解きたくなる数学

こんなにスゴい! 銃のしくみ

銃に込められたさまざまな機構や工夫を
図と写真で解説したもの。


単に銃を紹介するカタログのようなものではなく
その仕組みに特化した解説書で、
銃のメカニズムに興味がある人には刺激的な内容。


主目的は薬莢の底を叩いて弾丸を発射するだけなのだが、
威力や精度、扱いやすさを向上させるために
さまざまなアイデアが詰まっていることに驚く。


また、Kindle版は印刷ページ部分のデータしか含まれていないが、
書籍版には銃の進化の流れをまとめたDVDが付属しており、
紙面上では伝わりにくい内容を実際に観ることができる。


小林宏明のGUN講座2」で解説されていた内容が
そのまま動画として観れる形になった印象で、
各部品の働きや仕組みが非常によくわかるし、
過去の銃と比較することで
性能がどう優れているのかが実感できる。


危険なイメージで敬遠されることが多い銃だが、
その内部構造がいかに工夫されているのかがよくわかる1冊。

総アクセス数