レビューブログ【レブログ!】

映画、アニメ、ドラマ、マンガ、書籍、英語読書の感想(ネタバレなし)が6000件以上!


世界一やさしい問題解決の授業

問題を解決するときの考え方について説明したもの。


中高生向けに優しく書かれているが、
問題の原因を突き止めるための切り分け方や
仮説を検証するための手順などは
ビジネスに関わる人にも必須の内容。


具体的な事例を使って問題に取り組む流れも紹介されており、
どういう考え方で原因を追及していけばいいかがよくわかる。
論理的な思考が身についていない人は
まず本書でその型を学ぶとよい。


100ページあまりのボリュームで
ロジカルシンキングの基本を知ることができる良書。

いま君に伝えたいお金の話

村上ファンドを創設してさまざまな話題を集めながらも
2006年にインサイダー取引の容疑で逮捕された村上世彰
子供向けにお金について解説したもの。


前半はお金に関する基本的な理屈の説明で、
後半になると投資家の経験を踏まえた経済の話に移っていく。
やや難しめの話もあるが、
高校生ぐらいなら理解できるレベルになっており、
大人に出る前に社会がどのように動いているかを意識するには悪くない内容。


著者の逮捕歴や子供向けに投資の話をすることを
気にする人がいるかもしれないが、
実際問題として銀行預金だけでは資産形成ができないわけで、
若いうちから投資の仕組みや必要性を知っておくのは重要だろう。


本書で社会経済に興味が出た人には
合わせて「未成年のうちに聞きたかったお金の話」も読んで欲しい。


【関連作品のレビュー】
生涯投資家

ピロリ菌やばい

ホリエモンこと堀江貴文
胃がんの主な原因となるピロリ菌について
検査の有用性を説明したもの。


書籍として販売されているものの検査キットが付属しており、
尿を採取して郵送することでピロリ菌の有無が通知される仕組み。
検査には別途2500円が必要となるが、
書籍内で指示される支払いサイトはサービスを終了しているため、
予防医療普及協会のサイトで支払い手続きをする必要がある。


書籍の方は小冊子という印象で全部で80ページほどしかないが、
誰にでもわかりやすい文章で理解しやすく、
胃がんの99%がピロリ菌によるもので
がん治療をするよりもよっぽど負担が小さいことがよく伝わってくる。
本という形で検査キットを広める手法は大正解のように思う。


手軽な尿検査だけでチェックできるし、
若いうちに検査を済ませておく方がいいということなので、
いろいろな人に手に取って欲しい1冊。

しょぼい起業で生きていく

いろいろな店舗の経営した経験を持つ著者が
気負わない気軽な起業を提唱したもの。


初期投資やランニングコストなど
経営の負担になるようなものを減らして
生活の延長のような気持ちでやればいいという主張には
ある程度納得できるものの、
実際問題としてはかなり厳しいだろうという印象。


このスタンスで成功するなら
店舗付き住宅が並ぶ商店街はどこも苦労していないはずだし、
生活していくには定期収入を生む必要があるわけで、
やはり一定の収益を上げる工夫や経営力は欠かせないだろう。


中盤からは100万円の支援を受けて開店した
しょぼい喫茶店」の状況が書かれているが、
運よく人と金と話題が集まったおかげにも思えるので、
サンプルが1例だけだとこのやり方がどこまで通用するのかわからなかった。
(その後、わずか2年で閉店したとのこと)


スタートアップが生まれにくい日本において
起業へのハードルを下げたいという想いには賛成だが、
もう少し具体的にどんな行動と知識が必要かを挙げて欲しかった。

動画広告 作成&活用

動画での広告について
その効果や注意点などをまとめたもの。


YouTubeをはじめとする動画コンテンツの浸透によって
テレビCMほどのコストをかけなくても
動画広告を流すことができるようになったが、
特性を理解した上で作る必要があり、
そのあたりのポイントをおさえている。


ただ前半は本として非常に読みづらく、
冗長的な説明がダラダラと書かれている印象で、
どこが重要な情報なのかを読み取りづらかった。


中盤は撮影した動画の編集方法について
具体的なアプリの使い方が紹介されているので、
そういった経験がない人にも親切で参考になる内容。


後半は作った広告動画をどのように発信していくかを
各SNSの特徴を踏まえながら説明していく。
それぞれかなり具体的に書かれているので
実際の業務での参考になるだろう。


抑揚がなく本として読みにくい印象なのは残念だが、
動画広告を流す具体的な予定がある人には
実践的な内容が多くて参考になる1冊。

寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち

寄生虫のさまざまな生態について解説したもの。


1冊まるごと気色の悪い寄生虫のオンパレードだが、
いろいろな生物に侵入して
最終目標への到達を目指すいろいろな戦略が興味深い。


ひとつひとつの解説があっさりで読みやすく、
点描のような迫力あるイラストとともに
テンポよく読み進められるのがよい。


予想もつかない生態の寄生虫が多く、
生物に興味がない人でも怖いもの見たさで楽しめる本。

借金は身を滅ぼす

パチスロにハマッてしまった著者が
どんどん借金を膨らませていった大学生活を記録したもの。


メールマガジンとして配信されていた日記をまとめたものだが、
ズルズルと借金を積み重ねていく毎月の様子が
端的に伝わってきて非常にリアル。


現金が手に入ったときに、借金の返済よりも
新たなギャンブルを優先してしまう異常性が強烈で、
客観的に見るとどう考えて悪手なのだが、
中毒症状でどうしようもなくなっていることが伝わってくる。


中毒者の生き様をリアルに追体験できる内容で、
借金を積み重ねている人やギャンブルに頻繁に通っている人に
ぜひ読んでもらいたい1冊。

ミライのつくり方2020-2045 僕がVRに賭けるわけ

VRのハードウェアやコンテンツに可能性に見出し、
日本で普及させようと奔走してきた筆者の経緯をまとめたもの。


いくつかあるVRゴーグルの中で
特に「Oculus(オキュラス)」を軸に書かれているが、
収益面の見通しがないうちからその普及に努力し、
ひたすら情熱を持って行動を起こしてきたことがわかる。


今では十分に話題になっている商品だが、
日本市場への期待の低さや会社組織の構造から
なかなかうまくいかなかった苦労や状況が伝わってきて
スタートアップ企業の難しさが追体験できた。
前半はそういったビジネス書としての傾向が強い。


後半はVR機器が普及することで起こる
社会変化について書かれているが、
まだ未知数の部分が多すぎるので
あくまで著者のいろいろな発想を味わいたい人向けだろう。


新しい知見を得るには物足りないが、
VR機器の可能性を感じたい人向けの本。

図解 経済入門 基本と常識

経済に関する仕組みや用語を1から説明したもの。


社会科の教科書としてそのまま使えそうな内容で、
経済や金融に関する基礎知識を解説している。


説明する内容を見開き2ページの単位にまとめ、
解説が1ページ、図が1ページと
バランスよく配置されたレイアウトが読みやすい。


誰もが知っておくべき経済の基本について
サクッと読めるボリュームなので、
特に中高生あたりにオススメ。


こういった経済の基礎知識を身に付けたい人には
合わせて「未成年のうちに聞きたかったお金の話」も読んで欲しい。

忌録(きろく):document X

4つのホラー作品を集めた短編集。


収録作品
 ●みさき
 ●光子菩薩
 ●忌避(仮)
 ●綾のーと。


どの作品も事件について出所の異なる資料を
断片的に掲載している体裁をとっており、
それがリアリティと不気味さにつながっていて面白い。
文章だけでなく写真やデータなども雰囲気が十分で
実際にあった事件なのでは、と思わせてくれる。


まったく意味のわからないものもあれば
現場の状況を詳細に記録した内容もあり、
読み進めるにつれて少しずつ全貌が見えてくるのが怖い。


リアリティを重視するためか
残念ながら最後まで読んでも完全な真相は得られず、
もやもやとした落ち着かない状況で物語はぶつ切りになる。


読みにくいのに非常に惹きつける文章で
途中で中断できない不思議な没入感がある。
ホラー作品が好きな人はぜひ一度読んでみて欲しい。

総アクセス数