魔女によって老婆の姿に変えられた少女ソフィが
巨大な動く城の主である魔法使いの元で
掃除婦として働くところから始まる話。
ジブリ映画ということで、やはり画質や表現は素晴らしく、
個々の部位が別々に動く城の様子は特に見事。
ハウルや魔女が魔法を使う様子や、不思議な世界を垣間見る雰囲気は
いつものジブリ作品と同様にワクワクさせてくれる。
キャラクターの魅力も高く、主役であるソフィ、ハウルだけでなく
火の悪魔やカカシ、ハウルの弟子も非常にいい味を出している。
そういった世界観、キャラクターの完成度だけで満足できるならいいのだが、
ストーリーとしては結局なんの話なのか、という感じで
物語の最初と最後で特に大きな変化が体感できない。
ソフィとハウルが強く想い合っているのはわかるが、
恋に落ちる過程がきちんと描かれないので、
そこまで献身的になれる理由がわからないのだ。
もう少し、2人の強い絆が構築される様子があれば
お互いのために力を尽くす流れにも納得できたのだが。
さらに、ソフィが老婆であるときと18歳のときの両方の声優を
倍賞千恵子が担当しているが、演技としてもイマイチで
作品から声が浮いて聞こえてしまう。
芸能人を使っても違和感がなければ問題ないが、
最初から最後までずっと
「不自然に若い声を出している感」が強くて辛かった。