1970年に放送されていたテレビアニメ「あしたのジョー」のうち、
冒頭から力石戦(1~52話あたり)までを再編集した劇場版。
作られた時代が非常に古いアニメではあるが、
今も名作として語り継がれている評判どおりの内容。
アニメなのに鉛筆描きのような複数の雑な線で描かれる動きは
素晴らしい迫力とスピード感。
滴り落ちる汗や血の表現が独特で、迫力を増す。
普通なら真面目で性格の良い主人公を設定するところだが、
ケンカばかりしてどうしようもない少年であり、
アル中の丹下段平が必死になってボクサーに仕上げていく過程が面白い。
本来ならば何十時間にも及ぶ内容を2時間半ほどに収めているため、
30分ほどで豚の暴走シーンにたどり着くほど展開が早い。
しかし非常にうまく編集しており、無理な感じはしないので
「あしたのジョー」を知らない人が名場面を見るという意味では最適。
いくつかの試合はザックリとカットされているが、
間の流れはある程度、想像で補えるようになっているし、
力石徹の減量の辛さや最後の決戦の様子は存分に味わえる。
タイトルは知っているけど内容は知らない、という人はぜひ。
【関連作品のレビュー】
あしたのジョー(2011年公開実写版)