たびたび人間たちを襲いに来る巨人たちと
高い塀で町を囲って生き延びようとする人間の戦いを描いたもの。
知性らしい知性もなくただ身体が大きいだけの巨人だが、
それでも人間にとっては脅威となることがよく現れていて、
人々の生き様も巨人を退治することより
逃げたり防ぐことを優先した逃げ腰なところが新鮮。
射出したワイヤーで空中を移動する戦闘スタイルが印象的だが、
実は戦いよりも人間ドラマに比重を置かれていて、
登場キャラクターの不安や悩み、感情部分の表現が多い。
序盤はかなり絵が下手で、デッサンが崩れたり
パースが狂ったようなコマが目に付くし、
キャラクターの見分けがつかなくて苦労するが、
ほとんどの登場人物はどんどん死んでいくので
ずっと生きている10人程度を把握しておけば問題ない。
本作の醍醐味はジワジワと手に入る情報によって
徐々に狂気じみた全体像が見えてくるところであり、
アクションではなくミステリーやサスペンスとして
各キャラクターの会話内容をじっくり読み進める方が楽しめる。
読み進めるほどに話の規模がとめどなく大きくなり、
まったく予想外の方向に展開していく衝撃作。
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