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あしたのジョー<2011年公開実写版>

矢吹丈(ジョー)を主人公とし、下町からボクサーとしてのし上がっていく話で、
1970年前後に爆発的人気だったマンガ
およびアニメ作品を実写映画化したもの。

実に登場から40年ほども経った作品の実写化だが、
原作マンガやアニメの魅力が相当に目減りした造りが残念で仕方がない。
ジョーの素質に惚れ込み、ひたすら尽くす丹下段平の描き方も甘いし、
マンモス西との関係も適当に構成されてしまっているし、
タイトルに付く「あしたの~」の基になった丹下からのハガキについても
ほとんどクローズアップされないまま場面が過ぎて行ってしまう。

序盤の要であるジョーの右ストレートも妙に動きに違和感があるが、
どうやらジョーを演ずるジャニーズの山下智久は左利きらしく、
本来サウスポーであるはずの役者がノーマルスタイルで構えている始末。

力石徹に関しては雰囲気も肉体も動きも非常にうまく再現できているし、
全体的にマンガの実写化という意味ではかなりがんばっていると思う。
ただ、作品本来の魅力を正確に受け継いでいるかというと、疑問だ。

ボクシングシーンも確かに重要ではあるが、
それ以上に序盤の人間ドラマに何より魅力がある作品のはずで、
そのあたりが一気に省略され、さっさと試合が始まってしまう流れには閉口。
ジョーがどうしても決着をつけたかった力石が先に少年院を出所する場面でも
非常に悔しがりながら同じリングに上がる決心をするジョーがまったく描けていない。
大胆にカットする場面と、
絶対に表現しないといけない場面との選択がズレているのだ。

かなりの長編作品を2時間ほどの映画として完成させるには
エピソードの取捨選択は必須だが、こんな仕上がりになるのであれば
作品の魅力を失わずにうまく編集した劇場版アニメの流れに沿って欲しかった。

【関連作品のレビュー】
あしたのジョー 劇場版(アニメ)
邦キチ! 映子さん(マンガ)

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