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禁煙セラピー

読むだけでやめられる禁煙手段として話題になった本。

喫煙者でないものの内容が気になったので読んでみたが、
全体として非常に読みやすく、
短時間で少しずつ読み進めるのにも向いている。

タバコに関する警告でありがちな
有害度合いや周りの迷惑を中心にしたものではなく、
タバコを吸う行為が無意味であると訴える内容。

喫煙者はタバコを嗜好品と考えるが、
早くタバコを吸える場所に行きたいという渇望感や
夜中にタバコが切れてしまう不安など
非喫煙者なら感じる必要もない事柄に脅えている。
タバコの味がうまいとか、
タバコでストレスを緩和されるなどというのは
タバコを吸う行為を正当化する言い訳でしかなく、
実際には中毒になっているだけだと説明される。

喫煙者が語る言い訳はすべて中毒症状をごまかす嘘で
それがなぜ間違いなのかを解説していく。
たとえば「タバコの味がうまいから吸っている」という人は
たまたま普段吸っているタバコが手元からなくなり、
自販機でも売り切れだったときには吸わないのかというと
違うタバコでもいいから吸おうとする、など
嘘を論破する正論が読めるのが面白い。

そもそもタバコは忙しいとき、退屈なとき、
ストレスを感じているとき、リラックスしているときに吸いたくなる。
要するにずっとタバコを吸っていたいと欲しているだけだ。
そうなると1日のうちのほとんどの時間は
タバコを吸っているか、
タバコを我慢しているかのどちらかになる。

タバコを吸うと心地よくなるような気がするのは
コンクリートに頭を打ち付けるのを
やめた瞬間の心地よさを味わっているだけだ、
非喫煙者は頭を打ち付ける行為そのものをしないのだ、という理屈。

そういった流れで、喫煙者たちがよくする言い訳を
ひとつひとつ短い例えを出して打ち砕き、
すべては中毒症状なだけであって
非喫煙者と比較して何もいいことがないと説明する。
喫煙者にとっては徐々にタバコを正当化する材料がなくなり
非喫煙者なら誰でも味わえている安心を
無意味に手放しているだけだと考えさせられる。

喫煙者にとってやかましい説教に聞こえそうな部分も多いが、
筆者自身が1日に100本を吸うほどのヘビースモーカーだった経験があり、
喫煙者の思いを代弁するだけの説得力がある。
健康に対する害の話はほとんど出てこないし、
タバコの本数を減らす「減煙」での喫煙法は否定している。
このあたりが今までの警告の仕方よりも新しく、
ヘビースモーカー歴があってこその禁煙本になっている。

何度も同じ話が出てくるので、
さっきも似たようなことを言っていたな、という気にはなるが
もしかしたら喫煙者にとっては
何度も言う必要があると判断した結果なのかもしれない。

読めば必ずやめられるかはわからないが、
やめたいと思っている人が背中を押して欲しいなら読んでみるのもアリ。

ネット上で読める「喫煙者を救え」も
内容的に素晴らしく、衝撃を受けることができるので、
本書の前にサイトを一読するのもいいだろう。

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