不倫相手から生まれて間もない娘を誘拐し、
4歳まで育てた愛人女性の逃亡劇を中心にした話。
誘拐した娘とともに母親として暮らしていく過去の場面と
その娘が成長し、大学生となった現在の場面とを
交互に見せながら展開していく。
前半部分は非常にテンポがよく、
頻繁に場面が入れ替わる割にわかりやすく作られている。
特に、不倫相手の妻から強烈に罵倒される様子や
心細い状況の中、なんとか生活の場を見つけようとしていく様子は
目が離せないほどハラハラさせられる。
全体的に、希和子を中心に描いた回想シーンの方が
恵理菜(薫)を中心とした現在のシーンよりも魅力的で、
成長した恵理菜には感情移入しにくいのが残念。
また、中盤以降、現在のシーンが中心になっていくにしたがって
中だるみを感じるようになり、退屈に思えた。
実母は母性が欠如しており、それに比べて
誘拐犯の方が遥かに母としての愛情にあふれている図式が面白い。
登場人物の演技はいずれも素晴らしく、適役ばかり。
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