100メートル走に対する人並み外れた才能を持ち、
そこに拠り所を見出した少年の話。
自分の存在感を表現する唯一の方法が
足が速いことだと考える主人公が
いろいろな人と出会いながら葛藤していく話だが、
読んでいる者にとにかく訴えてくる作風で
鬼気迫る思いがヒシヒシと伝わってくる。
絵はそこまでうまくないがキャラクター造りが秀逸で、
100メートル走という単純な競技を
これほど深く掘り下げて表現するテクニックが凄まじい。
短距離走を題材にしてはいるが、その本質は人間ドラマで、
どの登場人物のバックグラウンドもしっかり描かれている。
スポーツマンガでありながら単なる熱血で済ませず、
成長、挫折、自負、驕り、策略など
いろいろな人生観が込められた傑作。オススメ。