性風俗を描いた江戸時代の絵画である
「春画」の研究に没頭する中年男性と、
彼に想いを寄せる若い女性の話。
序盤は春画という珍しい題材と
それを楽しむ独特の視点が新鮮に感じるが、
徐々に関係者の非常識さが際立ってきて
独特な世界観から目が離せなくなる。
実は春画ではなく先生の方が軸になっているのがミソ。
登場人物全員がクセのあるキャラクターで
努力の方向がねじ曲がっているところが面白く、
苦悩していても不幸や悲しみを感じないのがよい。
変な人間ばかりが出てくるのに
それぞれに好感を持ってしまう不思議な作品。