ストレスやプレッシャーに苦しむ少女が
森の中で拾ってきた卵を温めて孵そうとする話。
承認欲求が強くて教育熱心な母親に
ややウンザリしている少女の感情と
卵から生まれた正体不明の生き物を
絶妙に組み合わせた独創的なホラーで、
生理的嫌悪感を表現するのが非常にうまい。
奇妙な生き物の存在を誰にも言えないまま
ビクビクしながら隠れて育てる心細さと
それが何をしでかすかわからない不安がずっと続く。
悪人らしい悪人はいないものの
それぞれが微妙に歪んだ一面を持っているのも怖い。
気持ちの悪い場面を定期的に挟みつつ
緊張感とテンポが維持される構成で、
最初から最後までずっと恐ろしい作品だった。