筆者の子供の頃や学生時代の思い出話をまとめたもの。
Web上に書いていたエッセイを本にしたものだが、
筆者が有名になるきっかけとなった
卵を育てさせられれた家庭科の話が冒頭に収録されており、
グイグイ読ませるその文章に一気に魅了される。
どのエピソードもコンパクトで読みやすく、
周囲の人たちとの微笑ましいやり取りが伝わってくるし、
自然体で飾らない筆者の人柄は
さくらももこのエッセイを彷彿とさせる。
出来事に対する筆者の観察眼が素晴らしく、
当時の情景が的確に言語化されていて
よくこんなに覚えているものだと感心する。
ただ、母との確執を感じるエピソードは
その深刻さが笑えるレベルを超えていてヒヤヒヤするので
のん気なノリを期待している人には合わないだろう。
それぞれの思い出がいちいち楽しく、
短時間でさらりと読める良質なエッセイ。