題名通り、ほとんど勉強ができなかった女子高生が
塾講師の指導によって慶應義塾大学を目指す話。
インパクトのあるタイトルだが、数ページめくると
たわいもない会話を書き出した内容ばかりで
その中身がスカスカなことに勘づく。
筆者の言動に感謝する学生の言葉が頻繁に出てきたり、
筆者の考える指導法の話に移ったり、学生の家庭問題に飛んだりと
どの視点で書いているのかよくわからない。
状況を説明する立場の筆者が学生の母親のことを「ああちゃん」と呼ぶのも謎。
本としても文章が読み辛いというか、
説明するのが下手な人が書いた文章のようで、読点も多すぎる。
この本を手に取った人は
他人への指導法か自分のための学習法を求めているはずだが、
読んだ限りではそのどちらも得ることができなかった。
例に挙げるものが極端すぎるし、途中の過程をすっ飛ばして
いきなり急成長した結果が突然語られたりして、
学生の学力が伸びた理屈がわからない。
また、両親の言動がどう影響していようが、
学生としての素行の悪さはあまり擁護する気になれない。
「ダメな人間なんていなくて、ダメな指導者がいるだけ」と謳う講師だが
あまりに中身が薄く、タイトル勝負の本書から感じるその実力はかなり怪しい。
完全に期待ハズレの1冊だった。
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