昭和初期の神戸を舞台に、洋裁店の一家が戦争の影響に苦しむ話。
デザイナーやエッセイストとして活躍した
妹尾河童(せのう かっぱ)の少年時代を描いたもの。
戦地ではなく、戦争中の市民の様子に焦点を当て
そこから戦争の悲惨さを表現した「火垂るの墓」と同じ方向性の作品。
古い神戸の景色を再現した映像はよくできており、
戦時中の異常な雰囲気が市民にまで広がっていたことがわかる。
主人公である肇(はじめ)少年の言動はどうにも好きになれなかったが、
父親と母親の人間的な魅力に強く惹かれた。
テンポもよく、次々と展開があるので退屈せずに観れる良作。