世界中のトイレや下水道の事情について書いたもの。
トイレはどんな人にも必ず必要な施設のはずだが、
世界中にはいろいろな理由で満足なトイレがなかったり
下水の整備が甘かったりするところが非常に多い。
そのあたりをテンポよく解説していく。
日本は便器も下水道も世界的に見て非常に優秀だが、
海外では信じられないような処理をしていたり、
その文化的な違いに驚かされる話がつまっている。
発展途上国を救う話題になるといつも飲み水に焦点が当たるが、
実際にはトイレを改善する方が影響力が大きいというのにも驚き。
また、野外で排泄する習慣に慣れた人々に
いかにトイレを設置させ、使わせるかという工夫の話が強烈に面白い。
外の者が強引にトイレを設置したところで
それまでの習慣や意識が簡単に変わるわけではなく、
自分たちの行動がいかにデメリットにつながるかを知らせてやる必要がある。
翻訳が優秀で、原書が海外のものであることをほとんど意識せずに読める。
真面目な内容ではあるが、読み手を飽きさせない文章で
世界のトイレ文化や問題点に触れられる良書。