90分ほどのドキュメンタリー映画で、セリフもテロップもないまま
肉、魚、野菜、果物などが生み出され、出荷されていく様子が
延々と流れるドイツの映像作品。
最初に目に付くのが機械化のクオリティの高さ。
作物の栽培や収穫において、効率化のために大半の作業が機械化され、
ひとつの目的だけに合わせて作られた設計思想に感心する。
ただ、農作業の部分は目的を読み取るのが難しいので
せめて扱っている作物の名称や
行っている作業内容ぐらいはテロップで表示して欲しかった。
肉が出荷されていく映像では当然ながら牛・豚・鶏が
世話された後、殺されてきっちりと食肉へ変化していく様子が流れる。
もちろん血や内臓、骨などもそのままに映るので
人によってはかなりショッキングに感じるだろうが、
映像的に一番見応えがある部分なのも事実。
やたらと筋肉質な身体を持つ巨大な牛が
電気ショックによって一撃で死に、一気に逆さ吊りにされるインパクト。
よく研いだナイフでスッと切ると、驚くほど大量に流れる血液。
小柄な豚の身体は流れるように死体に変わっていき、
逆さ吊りの身体に機械が刃を入れるとドロッと内臓が出てくる。
大きなハサミで淡々と足先を切っていく作業員。
グロテスクに見える内容だが、我が日本でもどこかで行われている作業だし、
そうやって処理された肉をみんなが食べている事実。それを再確認できる。
最高に効率化されている加工工場では
家畜はただの材料として扱われていることがわかる。
毎日同じ作業をしている作業員はあまりにも淡々としていて
ネジでも締めるような滑らかさで家畜の身体を処理していく。
序盤は野菜や果物が中心だし、淡白すぎて退屈にも思えたが
肉や魚の部分が始まると大きく惹きつけられた。
かなり人を選ぶ作品ではあるだろうが、一定の価値はあると思う。