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第9地区

第9地区 (字幕版)

第9地区 (字幕版)

  • シャルト・コプリー
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南アフリカのヨハネスブルク上空で巨大なUFOが停止してしまい、
身動きが取れなくなった宇宙人たちが難民として
地上の「第9地区」と呼ばれる隔離地域に移り、28年が経ったという設定。

宇宙人を題材にした作品というと、知的生命体として文化交流するか、
または人類の敵として登場するものがほとんどなのに
隔離地域が原始的な生活を送る宇宙人たちで
スラム化しているという発想が素晴らしい。

宇宙人たちは「エビ」という蔑称で人間から嫌われ差別され、
大好物のネコの缶詰をチラつかされてボッタクられたりしている。
さらにMNUと呼ばれる軍隊のような組織が
第9地区から宇宙人たちを強制退去させる展開は
1966年に黒人が追い出されたケープタウンの「第6地区」を連想させ、
それ以外にも実際の人種差別を表現したシーンがいくつも登場する。

冒頭はテレビ放送や記録用カメラを模した映像が続き、
ドキュメンタリータッチで展開される。
なんとか穏便に立ち退きを命じようとする主人公と、
明らかな差別意識を持った兵士との対比も面白い。

ストーリーも先の読めない流れが多く、まさに「一体どうなるのか」の連続。
人間側に感情移入していた序盤からうってかわって、
利己主義なMNUのやり方に徐々に宇宙人側に味方したくなってくる。
宇宙人の持つ武器や兵器から感じる圧倒的なテクノロジーの表現も良い。

燃料のいう存在のはずなのに
人体の組織を作り変える働きを持っている液体の性質や、
ラストがスッキリしない点など
すべてが納得いくものばかりではないが、
とにかく目が放せない映画だったことは確か。

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