紳士服の仕立て屋を営む男性が
食品会社を脅迫した事件に関わるカセットテープを
家の中で見つける話。
1980年半ばに世間を騒がせたグリコ・森永事件をモチーフにしており、
実際の事件の状況に綺麗になぞらえて
架空の真相を味わえるようになっている。
史実とつじつまを合わせつつ
ここまでうまく話を作り上げているのは見事。
登場人物がかなり多く、
その関係や名前を把握するのは大変だが、
事件の全貌が見えるに従って理解できていく。
かすかな情報をたぐり寄せていく緊迫感と
犯罪に巻き込まれた人たちの切なさと
真相が明らかになっていく気持ちよさが醍醐味で、
それぞれのキャラクターの個性もうまく魅力につながっている。
さまざまな謎が残る未解決事件を題材に
非常に見応えのある作品に仕上げた良作。
