第2次世界大戦が近づくイタリアで
友人とともに田舎町にやってきた陽気な男性が
一目惚れした女性を口説き落とそうとする話。
根っから明るい主人公がヒロインに対して
しつこいほどにアタックを仕掛ける前半はとにかく楽しく、
機転を利かせて次々とデタラメを並べる調子の良さと
テンポがよくて退屈しないセリフ回しが素晴らしい。
そして中盤で不穏な空気が流れ始め、
コメディ映画のようだった雰囲気から一気に流れが変わって
ユダヤ人が迫害される戦時下での辛い日々が始まる。
この強烈な落差が戦争の悲惨さを際立たせるとともに、
戦前と変わらず陽気な言動で子供を励まし続ける主人公の姿が
家族への強い愛情を感じさせてくれる。
いつ死んでもおかしくないギリギリの状況で
弱音を吐かずに明るく振る舞う父の姿にグッとくる。
辛く悲しい世界観ではあるが、
細かい要素まで伏線として活きてくるよう
非常に練られた完成度の高い筋書きで、
いろいろな感情が味わえる傑作。