3人組の女性シンガー「ドリーメッツ」を中心にした
1960年代のアメリカを描いた話。
実在した女性グループ「ザ・スプリームス」を元にしている。
序盤だけを見るとドリーメッツが
メキメキと売れていくサクセスストーリーかと思うが、
実際には60年代アメリカでの白人と黒人との確執を強く表現したもの。
そのため、当時の黒人が白人から受けていた迫害ぶりや
逆に黒人たちが歌にメッセージを込める気持ちなどを知っていないと
面白さや理解度が半減してしまう。
当時の黒人はまさに奴隷的な扱いを受けていて
黒人たちの主張や言動を白人は白い目で見ているし、
何もかもを奪おうとする白人を黒人は目の敵にしている。
本作の主役である黒人たちには自分たちが守るべきもの、
譲れないもの、捨ててはいけない想いがあり、
それらを投げ出して白人に媚びるようなことに
かなり抵抗を持っている、というのを理解しておかないと
登場人物たちかなぜそんなに反抗的な行動をするのかがわからなくなる。
もともとミュージカルが原作ということもあり、
例によって劇中、唐突に歌い出すということに抵抗があると厳しいが
歌そのものは素人が聞いても凄さがわかる素晴らしいもの。
前半はすさまじいテンポでドリーメッツがのし上がっていく様子が描かれるが
この映画の本編は中盤以降であり、
重いテーマに面白さを見い出せるかどうかが評価の分かれ目だろう。