スラムで生まれ育った青年が
テレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演した背景を描いた話。非常に面白い。
「クイズ$ミリオネア」は一攫千金を狙う視聴者参加型の番組。
日本でもみのもんたの司会で放送されて有名だが、
映画を楽しむためには番組の基本的な流れや
3種のライフラインの意味などを知っている必要がある。
物語の中心となるのはスラムで生まれ育った男兄弟と一人の女性。
兄弟の弟の方が主人公であり、スラムでの壮絶な生活や
番組に出演するまでの様々な出来事が語られていく。
ストーリーは割と単純なのだが、とにかく編集が秀逸で
伏線や意味のあるカットを随所に挿入しつつ、
全編に渡ってスラムの実態やインドの変化を体感できる。
特に前半で語られるスラム生活は凄まじく、
観光客にとっては眉をひそめる存在であるスラムの子供たちが
そうしないと生きていけないほど劣悪な状況であることがよくわかる。
生きるために必死で、そのためには何でもやるというギリギリの状態がよくわかる。
物語は、スラムで育った主人公の子供時代、
「クイズ$ミリオネア」に出演している青年時代、
ある場所でこれまでの人生を振り返っている現在の
3つの時間軸を切り替えながら展開していく。
これによって「なぜ番組に出演したのか」、
「なぜクイズに次々と正解できたのか」、
「なぜ今、こんな場所にいるのか」がスムーズに理解でき、
主人公にどんどん感情移入してしまう。
すべての謎が解け、意味を理解し、物語も綺麗に完結するので
観終わったあとは非常にスッキリする作品。とにかくデキがいい。強くオススメ。