ある日突然に重力が反転した町で
さまざまな人たちがもがく様子を描いたもの。
世界の重力が上下逆さまになった舞台を共有しつつ
エピソードごとに主人公が異なるオムニバス形式になっており、
常に転落死の危険がある世界の中で
どういう風に過ごしていくかが多様に表現されている。
人間の嫌な部分を描くのが非常にうまく、
極限状態で本性が露わになっていく様子に目が離せなくなる。
いろいろなエピソードを通して
全体の状況が少しずつ見えていくという構成も面白い。
重力反転という単純なアイデアながら
構成とストーリーのうまさで読ませる傑作。