国内の最難関大学として知られる東京大学だが、
その学生生活や学歴に満足せず、
後悔している元東大生の思いを集めたもの。
タイトルを見る限り、東大に入学した後悔を書いた本かと思ったが、
第1章・第2章については学内のシステムや学生生活、
学生の特徴などを読むことができて参考になった。
ただ、第3章以降はひどい内容で読むに堪えない。
第3章に書かれているエピソードは本人がやたらネガティブで
成果を出せなかったことへの愚痴ばかり。
東大に入学した後に遊びほうけ、
適当に選んだ大手銀行という就職先に不満を言うのは
自己責任以外のなにものでもないだろう。
第4章は官僚の仕事内容に対する不満であって、
東大とは直接関係がない。
「官僚になりたがる東大出身者が減っている」だけで済む話だし、
官僚という立場がイマイチだからといって
東大に行かなければよかったという理屈は無茶だろう。
第6章の大学院生はセオリー通りに留学をせず、
かといって指導教官にアドバイスを請うこともしない。
そんな努力不足や実力不足で成果が上がらなかった恨みを
博士課程に合格させた先生にぶつけるのはおかしい。
2年目の終わりに論文の雑誌投稿につまづいて
そこから5年目まで迷走していたというのはひどい。
第7章の元東大生は廃寮が通告された寮に居座り、
自堕落な生活を送った上で就職活動もせず、
売れない漫画家を続けて健康保険料すら未払いなど
もはやどの大学か関係ないほどの落ちこぼれぶり。
東大の価値を判断するにはサンプルが少なすぎる上に
どの卒業生も自分の不幸を外的要因のせいだと考えており、
読んだところで得られるものが何もない本だった。