街なかで目についた人物を尾行することが趣味の男が
ある男と知り合ったことで窃盗行為に手を染めていく話。
弱気な主人公が不思議なカリスマを持つ男に
グイグイと引っ張られて新たな世界に踏み出していく様子は
「ファイト・クラブ」を思わせる不思議な緊迫感があり、
前半はその鮮やかな手口を楽しむクライムサスペンスとなる。
時系列がかなりシャッフルされているので
主人公の見た目や言動、場所などから
物事の前後関係を再構築していく必要があるが、
登場人物がかなり限定されているため、
そこまで混乱せずに整理していくことができる。
断片的ながら各場面のセリフや行動が結びついていき、
最終的にまったく別の真相に行き着く
ミステリー要素が楽しめる秀逸な筋書き。
1時間あまりという短さも絶妙で、
混乱や複雑さを感じさせず楽しめる良作だった。