1968年に発生し、解決しないまま時効を迎えた三億円事件について
その犯人自身が事件に至る経緯や犯行準備の様子を
告白したという設定のフィクション。
題材になった実際の事件からすでに60年近く経っているため、
その存在を本作によって初めて知る人もいるだろうが、
特に予備知識なく理解できるので問題ない。
全体的にストーリーテリングが非常にうまく、
犯行日時までかなり時間のある序盤から
緊迫感に包まれた展開が続き、
主人公の取る大胆な行動に目が離せなくなる
全2巻というボリュームも絶妙で、
人間関係を微妙に変化させながら
犯行に向けて着々と準備を進めていく過程が
スピード感を維持したまま追体験できる良作。