何匹もの犬とともに暮らす下半身不随の男の
不幸な生い立ちから今に至るまでを描いた話。
ひどい虐待を受けた幼少期から少しずつ過去を振り返り、
大量の犬を連れて、車椅子生活を送る現在に
少しずつつながっていく構成が絶妙で、
退屈させることのないストーリーテリングが見事。
不幸な状況をなんとか好転させようと
必死であがいても空回りするばかりで、
ずっと孤独な人生を過ごしてきた切なさと
そんな彼を健気に支える犬の姿にグッとくる。
「ジョーカー」によく似た雰囲気が漂う作品で、
光の当たらない裏社会に生きる主人公の
その弱々しい生き様が痛々しく、
最初から最後まで引き込まれる良作だった。