雑誌「ガロ」の話題では必ず紹介される、つげ義春の作品。
いくつかの独立した短編エピソードと
複数話から構成される「無能の人」が収録されている。
共通するのは主人公が堕落した生活を送っており、
きちんとした仕事に就くことなく、ダラダラと過ごしていることだ。
そういった男性に苦労している女性がよく登場するのも共通点のひとつ。
オチらしいオチがあることも少なく、人によっては何が面白いかわからないだろう。
しかし、その独特の雰囲気と妙に人間臭い部分は
妙な中毒性があるのも事実で、
実際に行うかどうかは別にして誰もが魅力を感じる怠惰な感情がリアル。
余計な予備知識はいらないので、つげ義春作品が初めてでも
この妙な雰囲気は十分に味わえる。
この値段でこれだけのボリュームを読めるのもコストパフォーマンスとして優秀。