カフェの店内にあるテレビと
店長の自宅のテレビが2分の時差でつながってしまう話。
未来の世界を一方的に覗き見るのではなく、
2分間のズレがある過去と未来が
テレビ電話として接続されているところがポイントで、
未来の自分たちと直接会話できる設定が面白い。
また、2台のテレビがすぐ行き来できる距離に置かれているので
ついさっき見た未来の映像を
そのまま実演して見られるところもワクワクさせられる。
状況の説明や目的の解説もうまく、
タイムトラベルもので混乱してしまうような人でも
無理なく理解できるようになっている。
コメディでありながらSFとしての完成度も素晴らしく、
開始5分で一気に引き込まれる面白さと
次々に新しい感覚を味わせてくれる展開がたまらない。
わずか70分という短編だが、
すべての要素が伏線として活かされる脚本が見事。
キャスティングもキャラクターも絶妙としか言いようがなく、
不思議なテレビの存在に集まってきた登場人物が
それぞれ無駄なく役目を果たしていく流れが美しい。
この内容を全編ワンカットで表現しているのも凄まじく、
一体どうやって撮影したのかを考えると
その裏にある多大な苦労がうかがえる。
ほとんどの場面がカフェ店内とマンションだけという低予算映画だが、
新鮮な体験と大きな満足感が味わえるSFコメディの一級品。