自身も登山の経験を持つカメラマンが
エベレストの近くの町で見つけたカメラをきっかけに
山に取り憑かれた男を追うようになる話。
長編小説をしっかりとビジュアル化した大作で、
妙にあっさりしていたアニメ版と違い、
登場人物が深く掘り下げられていて没入感が高い。
キーになる羽生というクセのあるキャラクターの
社会性の低さや山にかける執念がよく伝わってくる。
また、山のシーンは読んでいて寒くなるほどの迫力があり、
8000メートル級の山を登ることは
単に歩く距離が伸びるということではなく
いかに過酷で難しいことなのかもよく理解できる。
日常生活をすべて山に捧げる窮屈な生き方が息苦しく、
常に危なっかしい命のやり取りが描かれて
全5巻とは思えないほど深い読み応えがあった。