貧しい環境の中で独自の資産運用学を見い出し、
一代で巨万の富を築いた本多静六が、
自身の考え方について語ったもの。
本多静六は1866年生まれで、
本書のオリジナルが出版されたのが1950年。
そのこともあって言葉遣いが古く、堅苦しいので
最初はやたらと読みづらく感じるが、
徐々にその内容の素晴らしさが理解できるので、
しばらくは我慢をしてゆっくり読み進めるとよい。
元手のない状態でどうやって金を貯めるのかから始まり、
貯めた金をどう増やすのか、何に使うのか、
他の人とどのように接していくかなど、
資産運用だけでなく人生哲学も含めた内容が書かれてあり、
読めば読むほど感銘を受ける。
もちろん物価の上昇や社会情勢の違いもあり、
今の世の中ではそのまま当てはまらない部分もあるが、
共通して役立つ部分や注意すべき内容などは勉強になる。
要所要所で具体的な金額が書かれているが、
今の相場で言うとどのぐらいの金額にあたるのかがわからないため、
どのぐらいの大金を扱っているのか見当がつかないのが残念。
とっつきの悪い文体を乗り越えるだけの価値があり、
金に対する自分のスタンスを見つめ直すきっかけになる本。