レビューブログ【レブログ!】

映画、アニメ、ドラマ、マンガ、書籍、英語読書の感想(ネタバレなし)が5000件以上!


しをちゃんとぼく<1巻>

死ねない身体を持つせいで不注意な男性と
寂しい思いをする小学生が友達になる話。


事故に遭っても死ぬことはないため、
普段の生活の中でも危機意識が鈍くなりすぎて
次々とトラブルに巻き込まれるという設定は面白い。
冷静に指摘する小学生が絶妙なツッコミになっている。


かなり線が太くて見にくく感じるし、
大笑いするタイプの内容ではないが、
不死の設定をコメディに活かした意欲作。

マイ・ブロークン・マリコ

幼少期から虐待に苦しみ、
突如として自殺してしまった親友の遺骨とともに
海を目指して旅をする女性の話。


先に観た実写映画はまったく面白みを感じなかったが、
原作マンガを読むとかなり忠実に映像化されていたことがわかる。
ただ、本作の魅力が筋書きではなく、
激しい勢いを感じるその画風にあるように思えた。


主人公の感情があふれ出るような描き方は
いちいちパワーとスピード感があり、迫力がある。
そういったエネルギーに触れられる短編作品としては
まずまずの読み心地だった。


【関連作品のレビュー】
マイ・ブロークン・マリコ(実写映画)

とくにある日々<1~2巻>

高校生たちが身の回りにあるものを見ながら
いろいろな思いを馳せる話。


ごく普通の日常の中に
少し違和感のあるものが登場して
そこからいろいろと考えを巡らせる内容だが、
その視点がいちいち斬新で面白い。


置かれている状況や感情を的確に言葉にする気持ちよさや
登場人物の気持ちが共感できる楽しさが
独特なシュールな笑いにつながっている。


どういうマンガなのかを説明するのがすごく難しいが、
波長が合う人はズルズルと引き込まれる世界観だった。

ハイパーインフレーション<1~5巻>

体内から紙幣を生み出す能力を持った少年が
さらわれた姉を取り返すために奔走する話。


身体から紙幣を無尽蔵に出せるという特殊能力を利用して
事態を自分の望む方向に誘導しようとする内容だが、
生み出す紙幣に致命的な欠点があり、
単純に大富豪になれるわけではないところが面白い。


その上でどのように活用するのかが問題になってくるが、
その戦略を練る過程で貨幣が社会に与える影響や
偽札やインフレで一般市民がどう行動するかなど
経済の知識がいろいろと身につくところも醍醐味。


また、メインキャラクターはどれもやたら個性的だし、
ジョジョ」シリーズのような
相手の裏をかき合う心理戦も面白い。


絵はうまくないし、マンガとして稚拙な部分も多いが、
武力ではなく経済戦争を題材にした珍しい作品。

毒親絶縁日記

感情的で利己的な母親と
何も解決してくれない父親を持つ作者の
子供の頃から自立するまでのやり取りを描いたもの。


子供に関する大きな支配力を持った母親が
ひたすら自由を制限し、学校生活や進路について
本人の希望を妨害してくる様子が辛すぎるし、
親の保護下にいる状態では
ほとんど抵抗のしようがないのも苦しい。


ただ、作者が社会人になって収入を得るようになってからも
母親に言われるままに甘やかす流れは腑に落ちず、
共依存の状態にあるとしても
作者側へのイライラもかなり感じた。


もっと早い段階で絶縁してもいいはずなのに
ズルズルと金を提供するのは納得できないし、
さっさと連絡を遮断してもいいのに
何度もしつこくやり取りを続ける様子は
悪い状況を長引かせるばかりでモヤモヤした。


前半は境遇の悪さに同情したくなったが、
後半は対応の悪例を見せられているような内容。
読んでいる方までダメージを受ける題材なので
その上で目を通すかどうかを考えて欲しい。

オナ禁エスパー 竜丸短編集

自慰行為を我慢することで
強力な超能力を発揮できることが発覚した少年が
地球の危機を救う依頼をされる話。


性欲にまみれる男子中学生が
自慰行為を我慢した時間に応じて
強大なパワーを発揮するという設定が新鮮で、
主人公とサポート役のやり取りが楽しい。


SFとしてのセオリーをしっかり守りつつも
物語の軸になるのが性欲というのが面白く、
短いながらもきっちり盛り上げてくれる良作。


合わせて収録されている短編はかなりイマイチだが、
冒頭の「オナ禁エスパー」だけでも読む価値がある。

マンガでわかるマンション管理員

マンション管理員オロオロ日記」をマンガ化したもので、
マンションの住み込み管理員(管理人)を務める老夫婦の
日々の苦労を描いたコミックエッセイ。


マンションで起こるのトラブルに対応し、
いろいろな住民と顔をあわせる管理員が
どういう問題に直面しているかが生々しく描かれ、
外から見ていると呑気な仕事に見えても
実際にはかなりの苦労を味わうことが非常によくわかる。


また、ルールや常識がうまく通じない案件も多く、
時間を問わず持ち込まれる困難な相談に
どう対応していったかが読めるのも参考になる。


気楽な職業に思われがちなマンション管理員の
リアルな実情を知ることができる1冊。

さよなら絵梨

余命わずかな母親から、死ぬまでの様子を
動画で撮影して欲しいと頼まれた少年が
映画好きの少女と親しくなっていく話。


ひたすら主人公の視点で物語が進行し、
ほぼ同じコマ割りの効果もあって
ビデオカメラを通した撮影用の設定なのか
少年の目を通した現実の話なのかが
たびたびわからなくなる構成がポイント。


感情移入して読んでいると
ある時点でひとつ外の枠に出る不思議な造りだが、
意味深なだけの中身のないストーリーに思えて
そこまで魅力がわからなかった。


チェンソーマン」の作者による短編という先入観がなければ
脈略のない筋書きで惹かれるところがないように思う。

左ききのエレン<リメイク版・全24巻>

絵に関する才能がないのに意欲ばかりあふれる少年と
人並み外れた才能を持ちながら意欲が湧かない少女の人生が
絶妙に交錯していく様子を描いた話。
原作マンガをもとにnifuni氏が作画したリメイク版となる。


1ページに3コマほどしかない構成で消耗が激しかったり、
同じ髪の色の女性が区別しづらいなど
マンガとしてのクオリティに満足できない部分はあるが、
才能の違いを題材にした残酷な描写が徐々に病みつきになってくる。


広告代理店の仕事の苦労はやたらとリアルだし、
クリエイターの生きづらさも非常に生々しい。
登場人物みんなが自分勝手で嫌なヤツなのに
それぞれが絶妙に影響し合っている筋書きが面白い。


スポットが当たるキャラクターや時代ごとにブツ切りにして
時間軸と場所を変えながら展開していくが、
読み進めるうちにそれらがピタッと合わさるのが気持ちいい。
ひとつひとつのエピソードもそれほど長くなくてテンポがいいし、
読み始めると一気に感情移入してしまう魅力がある。


絵画や広告デザイン、モデルやプロデュースなど
あまり馴染みのない仕事が題材になっているが、
要所要所で出てくる表現はあらゆるビジネスに通じる部分があり、
物事の核心を的確に突いていてむしろ痛快に感じる。


クリエイティブな作業に関わる人たちに読んで欲しい良作。

石黒正数短編集 探偵綺譚(きたん)

探偵綺譚 石黒正数短編集(1) (RYU COMICS)

探偵綺譚 石黒正数短編集(1) (RYU COMICS)

  • 作者:石黒正数
  • 徳間書店(リュウ・コミックス)
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それでも町は廻っている」や「ネムルバカ」、
外天楼」などを手がけた石黒正数の短編集。


11本と結構なボリュームがある上に
それぞれ序盤から話に引き込むストーリーテリングの妙と
キャラクターの魅力が感じられるのは素晴らしい。


ただ、作品によって満足度の差が大きく、
どちらかというとハズレの作品が多い。
面白くなってきたあたりとバツンと終わったり、
雰囲気はよかったのにオチが弱かったりと、
もう少し練り込めたのでは、という思いが残る。


石黒正数特有の作風やキャラクターのファンならともかく、
短編集としてはややパンチに欠ける完成度だった。


【関連作品のレビュー】
それでも町は廻っている
ネムルバカ
外天楼
響子と父さん

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