崖の上の一軒家に住む5歳の男の子・宗介に魚であるポニョが助けられ、
「生命の水」や宗介の血によって一時的に人間の姿に変わり、
恩人である宗介に会いに来る話。
全編に渡って童話「人魚姫」がベースになっている。
大ヒットしたアニメではあるが、そこまでの面白さや魅力は感じなかった。
画像は確かに美しく、よく動くものの、
色鉛筆で描かれた部分とベタ塗りの部分が混在する違和感もある。
執拗に追ってくるポニョの父親が結局、味方なのか敵なのかハッキリせず、
肝心の「生命の水」や、その他の設定に関する説明もほとんどない。
町を丸ごと沈めた災害の原因がポニョであるという解釈でいいのかわからないが、
そうだとすると個人的な想いのために
人々に迷惑をかけるポニョに100%感情移入しにくくなる。
子供を連れているのに無茶な行動・危険な運転をする母親や、
母親のことを名前で呼び捨てにする宗介など
何か深い理由や設定があるのかもしれないが、
本作だけではそこは読み取れず、単に感情移入を阻害するばかりだ。
終わってしまえば結局なんだったの、という程度の話だし、
あれだけ必死だったポニョの父や、町が沈んでこれまでの生活を壊された人々も
すんなりと納得してしまったようで、それでいいのか、と思うばかり。
女の子になったポニョは天真爛漫でかわいいが、
魚から人間に変化する途中の半魚人はグロテスクでもあるし、
「となりのトトロ」ほど世界観だけで楽しめるという作品でもないので
子供たちが観たところでどこまで魅力を感じるかは微妙。
タレントや俳優を起用した声優は相変わらず声とキャラクターのズレや
本人の顔が浮かんでしまって没入感を下げる原因にもなった。
話題性の割に内容を感じられなかった作品。残念。