父に連れられて田舎に引っ越してきた姉妹が
トトロをはじめとする不思議な生き物に出会う話。
話の内容そのものはなんていうことはないのだが、
子供時代のワクワク感を大人が共感できるのが素晴らしい。
4歳のメイの子供らしい反応や言動もやたらとリアルだし、
傘に跳ねる雨音やネコバス、空を飛ぶコマなど
トトロが関わるさまざまな事柄は見ているだけで楽しい。
トトロに出会ったとき、「なぜ見えるのか」
「トトロの正体は何か」「どこに住んでいて何を食べるのか」など
大人ならつい気になってしまう無粋なことを
まったく気にせず受け入れてしまう純粋さが子供にはある。
今が楽しければ問題なし。不思議であろうがなかろうが、
「新鮮な面白さが体験できれば幸せ」という感覚を思い出させてくれる。
さらに清々しいのは「不思議な体験をした」と報告する子供たちの言葉を
周囲の大人たちがまったく否定しないことだ。
「現実ではないはず」「夢でも見たんだろう」と思ってしまいそうになるのに
サツキとメイの周りの大人たちは「子供たちなら見えるかも」と受け入れてくれる。
そういった部分、何も障害を感じずに
楽しい状況をそのまま楽しめるのが素晴らしい。
子供の頃に観たときにはそこまで面白いと思わなかったのに、
大人になってから子供時代を思い出しつつ鑑賞すると
やたらと素晴らしいデキだったことに気付く作品。