
- 作者:EMI
- 発売日: 2018/12/14
- メディア: Kindle版
感情的で過干渉な父親から虐待を受け、
高校生のときに鬱(うつ)病を発症した男性が
自分の症状や改善法を客観的に見つめていく内容。
鬱病の体験談を扱ったマンガがそれほど珍しくないが、
ここまで冷静で客観的に分析し、
当事者の症状や感情がどういう状態かを
非常にわかりやすく説明している作品はなかなかない。
試してみた治療、カウンセリングの有効性と
そのときにどう感じたかが克明に描かれており、
どういう気持ちで日常を過ごしているかが
鬱病を経験したことがない人にもよくわかる。
このタイプの作品でよくある不幸自慢や自暴自棄な描写が少ないので
読んでいてあまりネガティブな気持ちにならなくて済むし、
自分の心理状態にしっかり向き合って
常に冷静な分析と試行錯誤をしている姿勢に好感が持てる。
ただの怠慢や悩みすぎといった誤解を受けがちな鬱病について、
どういう症状に陥るのか追体験できる素晴らしい内容。
全編にわたって説明の仕方が秀逸で、
鬱病の人の気持ちを理解したい人にも
自分の鬱症状を客観的に判断したい人にもオススメの1冊。