空に見える星々は地球を中心に回っているという
天動説が広く浸透している15世紀のヨーロッパで、
地動説を研究しようとする者たちの話。
科学的に正しいかどうか以上に
宗教的な意味で天動説が支持された世界で、
異端者として吊し上げられる危険がありながらも
自分たちの信じる真実を
証明しようとする人々の姿がグッとくる。
現代では当たり前に知られた理屈に
どのようにたどり着くのかという興味をそそられる部分と、
いつ周囲に見つかるかという緊迫感が素晴らしい。
知識欲にあふれた主人公たちの様子に
「ヒストリエ」にも似た読後感が得られる。
わずか8巻というボリュームに歴史が感じられ、
真理を究明していく興奮と
社会的少数派の生きづらさを味わえる作品。