少年院に収監されている少年少女の特徴や
独特な言動をまとめたもの。
少年院の医務室に務める児童精神科医の視点で
犯罪を犯した少年たちの様子を紹介していくが、
彼らが単にやさぐれたり乱暴だったりするわけではなく、
知的障害や精神的な問題を抱えていることが描かれている。
劣悪な過程環境や知的障害のせいで周囲との人間関係が築けず、
社会にうまく受け入れてもらえない様子は衝撃的で、
普通のことが普通にできない問題の深刻さが見えてくる。
犯罪そのものは確かに悪だが、
不器用に生きることしかできない逃げ場のなさが恐ろしい。
「少年院に入っている人間はすべて悪人だ」という
多くの人が持っている印象を変えてくれる作品で、
うまく生きることができない人の存在を教えてくれる作品。