絵に関する才能がないのに意欲ばかりあふれる少年と
人並み外れた才能を持ちながら意欲が湧かない少女の人生が
絶妙に交錯していく様子を描いた話。
原作マンガをもとにnifuni氏が作画したリメイク版となる。
1ページに3コマほどしかない構成で消耗が激しかったり、
同じ髪の色の女性が区別しづらいなど
マンガとしてのクオリティに満足できない部分はあるが、
才能の違いを題材にした残酷な描写が徐々に病みつきになってくる。
広告代理店の仕事の苦労はやたらとリアルだし、
クリエイターの生きづらさも非常に生々しい。
登場人物みんなが自分勝手で嫌なヤツなのに
それぞれが絶妙に影響し合っている筋書きが面白い。
スポットが当たるキャラクターや時代ごとにブツ切りにして
時間軸と場所を変えながら展開していくが、
読み進めるうちにそれらがピタッと合わさるのが気持ちいい。
ひとつひとつのエピソードもそれほど長くなくてテンポがいいし、
読み始めると一気に感情移入してしまう魅力がある。
絵画や広告デザイン、モデルやプロデュースなど
あまり馴染みのない仕事が題材になっているが、
要所要所で出てくる表現はあらゆるビジネスに通じる部分があり、
物事の核心を的確に突いていてむしろ痛快に感じる。
クリエイティブな作業に関わる人たちに読んで欲しい良作。