世界一のサックスプレイヤーを目指す主人公が
高校卒業と同時に東京に出てきて仲間を集めていく話。
原作マンガの筋書きをかなり省略した構成で、
いきなり上京するシーンから始まる上に
かなりトントン拍子に話が進むので、
苦難を乗り越えていく日々が伝わってこない。
主人公が悩みながら技術を上げていったり
挫けずに努力を続ける様子が本作の醍醐味なのに
ドラマーの友人も含めて成長がスムーズすぎる。
また、登場人物の大半が説明されないので
回想シーンや観客の中に一瞬だけ映る人々が
主人公たちとどういう関係を持つのかがわからない。
さらに演奏者の全身を俯瞰でとらえる場面が
モーションキャプチャーによるCGで表現されているため、
指先や顔にヌルヌルした気持ち悪さを感じてしまう。
演奏する指づかいは正しくなるのかもしれないが、
不自然さが際立って迫力やリアリティが失われている。
一部に挿入される手描き特有タッチや抽象的な表現の方が
よほど凄みか感じられてよかったように思う。
原作の一場面をアニメで再現した
ミュージックビデオという位置付けなら悪くないが、
キャラクターやストーリーの魅力はほとんど感じられないので
本作を観る前にまず原作マンガを読むようにして欲しい。
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