若者を中心にテレビドラマや配信動画を
早送りしながら観る習慣を持つ人たちについて、
その理由や置かれている状況を分析したもの。
倍速、10秒スキップ、場合によっては話ごと飛ばすなど
コンテンツの醍醐味が正しく味わえないような鑑賞方法について
そうせざるを得ない環境や心理が解説されていて参考になる。
膨大な作品が次々と生まれることに加えて
話題に遅れることへの強迫観念の話はなかなかに興味深い。
また、生み出される作品の傾向としても
間延びしそうな部分を排除したり
説明過多になる特徴が見られるなど、
若い年代に受け入れられるために
作り方が変わってきているという点に驚かされる。
ただ、本としては同じような話が繰り返し持ち出される印象で、
序盤で語られたような考察が以降も何度も登場し、
薄い内容を水増ししているような読み心地を感じる。
また、調査対象の人数が少なく、層にも偏りがあるので
これだけで今の若者の価値観を理解した気になるのは危険だ。
倍速視聴という着眼点は面白いし、
その必要性を理解する上で参考になる部分もあったが、
もう少し情報量と説得力が欲しかったところ。
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