制御不能になった飛行機を無事に胴体着陸させ、
多くの乗客を救ったパイロットに、過失致死罪の容疑がかかる話。
飛行機トラブルを描いた冒頭の30分は素晴らしいデキで、
映像の圧倒的な迫力と緊迫感が見事。
だが、それ以降の展開が非常にテンポが遅く、中だるみが激しい。
主人公に対する世間の評判がほとんど描かれないので
英雄扱いされていた人物の状況が一転した、という感覚も感じにくく
ただグダグダと過ごす様子を見ているだけの内容。
主人公の態度の悪さも感情移入を妨げるし、
麻薬中毒の女性が登場した必要性もわからない。
「フライト」という題名ながら、パイロットや飛行機に関する作品ではなく
アルコール依存症の男を軸にしたヒューマンドラマなので、
これなら飛行機関連の要素は不要だったように思う。
派手さ目当てにとってつけたような飛行機事故を持ってくるのではなく、
もっと密度の濃いやり取りや苦悩を見せて欲しかった。