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天人唐草(てんにんからくさ)

テレプシコーラ」などで有名な山岸凉子の短編8作品を収録したもの。

●天人唐草
厳格な父に育てられ、不器用なまま成長してしまった女性の悲劇を描いたもの。
救いがなく、ただただ主人公が不憫な話だが
こういった真面目でおとなしい女性は現実にも多いのでリアリティを感じる。

●銀壺・金鎖(ぎんこ・きんさ)
3人の異母・異父兄弟の回想シーンで構成された話。
個々の回想シーンは興味深いが、登場人物の関係が整理しにくく、
本筋も面白みがなくイマイチだった。

●シュリンクス・パーン
古い屋敷に引っ越した若い作家が不思議な少年に出会う話。
先の展開は読めるが、まずまず楽しめる。

●負の暗示
昭和13年に岡山県のとある村で起こった津山事件を描いた話。
30人もの殺人が起こった壮絶な事件に至るまでの様子が
かなり丁寧に描かれており、
事件のことを知らない人にも非常によくわかる内容。
本書の中で一番読み応えがある一作。

●悪夢
妙な夢に悩まされる女性の話。
頻繁に入れ替わる場面が読みづらいし、話としても面白くなくイマイチ。

●星の素白き花束の(ほしのましろきはなたばの)
イラストレーターとして生計を立てる女性が
気まぐれで引き取った美少女に振り回される話。
少女の奇妙な言動から徐々に本性が見えてくる流れが怖い。
山岸凉子らしい作品。

●蜃気楼
妻と愛人の間で板挟みになる男性を描いた話。
女性たちの怖さを味わえる一作。
途中まではかなり盛り上がるが、ラストがパンチに欠けたのが残念。

●流々草花(るるそうげ)
山岸凉子がデビューした頃の様子を描いた自伝エッセイ。
今ではベテラン漫画家となった作者の初々しい様子が垣間見れて新鮮。

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