他人の精神に干渉できる特殊な呪文を扱う者たちを軸に、
異なる種族間での争いを描いたSFファンタジー。
冒頭から独自の言語と世界観をあふれ、
さらに登場人物の見分けにくさも相まって大混乱するが、
なんとなく意味がつかめてくると面白くなってくる。
独特の世界観ではあるが骨組みがかなりしっかりしているので
少しずつ用語の意味や社会の構造が見えてくると
それまでの場面も理解できるようになる。
慣れるまでは頻繁にWikipediaの情報を参照すると良い。
術の効果や光を何本もの線で表現する画風は独特で、
親近感のわかない顔の描き方と合わせてかなり好みが分かれるところ。
しかしイムリの道具や双子の設定の活かし方がうまく、
読めば読むほど面白くなってくる。
常に緊迫感があり、先の展開が読めない筋書き。
とっつきは悪いが、3巻ぐらいまで読み進めると
グイグイと好奇心を刺激されて止まらなくなる。
対立し合う勢力のそれぞれの言い分に共感できるだけに
戦争を収束させるのがいかに難しいかがよくわかる。
ものすごく練り込まれた世界設定を舞台に
素晴らしく引き込まれる人間ドラマを描いている。
読み始めは混乱するが、それを我慢してでも
最後まで読む価値があるSFファンタジーの最高傑作。
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