荒廃した地球を舞台に、ただ一人働く小型ロボットを主人公にした話。
もはや映像のクオリティは言うまでもないが、
それでもあまりにも素晴らしいデキ。
特に本作は高い位置から多数の物体を見下ろす映像が多いのだが
そういったときにも個々のディティールがきっちりと判断できる解像度。
ほとんど見えないような物体も手を抜かず、
しっかりと造り込んでいるのがわかる。
ジャンルとしてはSFで、ロボットや宇宙ステーションの
細かい設定が非常にしっかりしていてリアリティがある。
絵的にはかわいらしいキャラクターが多いが、
人間の求める便利への欲求が怠惰に結びついてしまうような皮肉や、
現状の環境問題に絡めた設定も多いので
子供にとってはなかなか難しい内容な気がする。
あくまで大人が楽しむCGアニメと言えるだろう。
前半部分はほとんどセリフらしいセリフがなく、
またそれでもまったく問題ないほど洗練された見せ方は見事。
ロボットだけれど人間臭い仕草の表現がうまく、
キャラクターがどういった感情なのかが誰にでもわかる。
基本的に物語に登場するロボットは言葉をしゃべることなく
すべてアクションで感情を表現するのだが、
だからこそその動きに注目し、どういった状況なのか読み取る楽しさがある。
予想通りの展開で進んでいくとはいえ、
きっちり最後まで盛り上げてくれるのは、さすがピクサー作品と言えよう。
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