ある一家の父親とその飼い犬を主人公に、
犬の視点から父親の生活を描いた作品。
あまり内容に触れると魅力が減ってしまうため
ストーリー部分は実際に読んでみて欲しい。
犬の視点で表現された作品は珍しくないとはいえ、
犬にはわからないことでも、読んでいる読者には
家族がどういう状況に置かれているか読み取れる部分に切なさがある。
「泣けるマンガ」という評判が先走りしている気がするが、
泣けることを期待するよりも、父親のキャラクターや
犬の忠義に魅力を感じる作品だと思う。
父親は不器用なのだけれど悪い人ではないことが
犬と2人きりのときだけわかるのだが、
かといって人生がうまく回るわけではなく、
冒頭に描写されていた結末に向かってゆっくりと展開していく。
犬好きなら誰でも犬に話しかけ、
会話を理解してもらっている気になった経験があるが
それを実際にマンガのモノローグで表現し、
犬好きが想像する通りの犬の頭の中が描かれている。
本編以外に「日輪草」という作品も収録されているが、
こちらも完全な別作品ではなく、「星守る犬」の内容を
別の視点から表現した作品。こちらはそれほど響かなかった。
【関連作品のレビュー】
続・星守る犬(マンガ)
星守る犬(映画)