レビューブログ【レブログ!】

映画、アニメ、ドラマ、マンガ、書籍、英語読書の感想(ネタバレなし)が6000件以上!


21エモン<全2巻>

いろいろな異星人が地球に旅行するようになった近未来を舞台に、
父親が経営する流行らないホテルの手伝いをする少年の話。


藤子・F・不二雄が「ドラえもん」よりも先に描いた作品で、
毎回いろいろな宿泊客が登場する1話完結型とはいえ、
ドラえもんのひみつ道具ほどの刺激がない。


主人公の家族や客のキャラクターは個性的で
それぞれのやり取りは楽しいが、
笑いのシュールさやワクワク感もいまひとつ。


週1回しかしゃべらないという
モンガーの斬新な設定も途中でなくなり、
肝心の21エモンの存在感も弱い。


後半は宇宙旅行編になって連続性の高いストーリーとなり、
いろいろな展開があってこちらの方が読んでいて楽しめた。
ホテル編の方は一定のクオリティはあるものの、
藤子・F・不二雄ファンとして期待するほどの面白さはなかった。


【関連作品のレビュー】
ドラえもん物語 -藤子・F・不二雄先生の背中-(マンガ)
まんが道(実写ドラマ)
まんが道 青春編(実写ドラマ)


mclover.hateblo.jp

ファミレス行こ。<上巻>

カラオケ行こ!」の主人公が大学生となり、
アルバイトし始めたファミレスに訪れる人たちを描いたもの。


主人公がヤクザと知り合いであることさえ知っていれば
ストーリーそのものは今作だけでも理解できるが、
うっすらと続いている2人の関係が読み取れるだけでも
前作のファンとしては嬉しい限り。


相変わらず中身のなさそうな独特の作風で
会話劇としては前作ほどのパンチに欠けるが、
キャラクターが作り込まれているおかげで
それぞれの会話を聞いているだけで楽しい。


いくつかの要素がジワジワと絡みついていく展開だったので
下巻で綺麗にまとまることを期待する。


【関連作品のレビュー】
カラオケ行こ!(マンガ)
カラオケ行こ!(実写映画)

ハッピーファミリー 復讐のレンタルお母さん<1~3巻>

復讐を成し遂げるために、レンタルサービスを装って
ターゲットの家庭に入り込む女性の話。


自己顕示欲が強く、自分の評判を上げるために
娘を振り回す母親のキャラクターが絶妙に憎たらしく、
SNSの反応ばかりに振り回される
裏表の激しい言動にリアリティを感じる。


そんな相手に近づくために
ジワジワと家族を懐柔していく展開に引き込まれるし、
短い間隔でスカッとする場面が用意されているのもいい。


おおよそ予想通りの筋書きではあるが、
毒気のあるサスペンスとして楽しめる良作。

クジマ歌えば家ほろろ<1~3巻>

鳥と人間が混ざったような不思議な生き物が
ある一家とともに暮らし始める話。


ロシアから来た鳥人間という設定はめちゃくちゃなのだが、
何にでも無邪気にはしゃぎながら
周囲に受け入れられていく過程が
とにかく微笑ましくて読んでいて幸せになる。


人々を素直に観察するクジマの視点を通して
人間の心理がリアルに描かれているところも味わい深いし、
淡々としたやり取りに笑いを感じる点は
和山やまの作風を思わせる。


キャラ設定のインパクトに安易に頼らず、
毎回のエピソードでしっかり満足させてくれる良作。

サバゲっぱなし<全10巻>

エアガンでBB弾を撃ち合うサバイバルゲームを題材に
未経験者だった女性がどんどんのめり込んでいく様子を描いた話。


スクリーントーンを利用した濃淡表現がほとんどなく
白と黒の2色で描かれた作風は少し読みづらいが、
サバゲー経験者が共感できるエピソードや
参考になる情報がいろいろと味わえる。


ただ、戦闘中の描写がほとんどなく
銃選びなどの準備作業とゲーム後のやり取りが大半なので
戦略や戦術といったバトル部分を楽しみたい人には不向き。
また、サバゲーを知らない人に対する解説も少ないし、
コマがゴチャゴチャしていてマンガとしても読みにくい点が多い。


あくまでサバゲー好きの人に向けた内輪ネタという作品。

北欧こじらせ日記<フィンランド1年生編>

寿司職人としてフィンランドに移住し、
慣れない土地での生活や飲食店での仕事について
まとめたコミックエッセイ。


北欧の雰囲気や雑貨に憧れる人は多いが、
実際に移住して働きながら生活している人の
生の声が聴ける資料としては貴重。
ただし、文章による説明が多くて動きが少ない作風なので
マンガというより絵日記に近い読み心地。


ただ、大部分がレストランでの仕事の話なので
アメリカなどで働く場合と似たような話しか出てこず、
フィンランドらしい内容はほとんど読み取れなかった。


慣れない土地で努力を続ける作者の人柄は好感が持てるので
フィンランドよりも作者目当てで読むべきエッセイ。

彼岸島<1~4巻>

人を襲う吸血鬼の出現に気づいた若者たちが
失踪中の兄を探すため、敵の巣窟である島に渡る話。


敵の設定は非常に王道で
一般的なゾンビものとほとんど変わらないが、
どの登場人物も魅力がなく、
無理やり同行してきた割に何もできずに騒ぐだけだったり
戦略的にあまり意味のない行動を取ったりと
見ていてイライラする場面が多い。


その場その場のノリで描かれたような作風なので
リアリティを度外視して楽しめる人向け。

太陽の仲間たちよ

植物状態になった少年を回復させようとした看護師たちと
身体障害者のためのスポーツや仕事を
普及させた医師の奮闘を描いたもの。


障害により行動に大きな制限が生まれ、
本人や家族も諦め気味になっている状況で
多大な苦労を乗り越えて成功に至ったエピソードが読める。
美談とはいえ関係者の自己犠牲がベースにあるものの
いろいろな試行錯誤と行動力には頭が下がる。


特に後半に収録された中村裕の話が面白く、
身体障害者たちの社会参加が未熟だった1960年頃に
彼らの居場所を開拓していった功績が素晴らしい。


マンガとして読みやすく仕上げられているし、
障害者の思いを追体験する資料としても優秀な1冊。

アタゴオル<1巻>

不思議な世界に住む
ふてぶてしい猫のキャラクターの話。


猫が擬人化されているというだけでなく、
登場する動植物や世界の仕組みまですべて独特という
ファンタジー色の強い作品で、
それ自体を不思議がって楽しめる人ならいいが、
あまりに脈絡がなさすぎて入り込めなかった。


他人の夢の話を聞いているような
感情移入できない置いてけぼり感があり、
本作の魅力がよくわからなかった。

綿の国星(わたのくにほし)<1巻>

ある家に引き取られた捨て猫の生き様を描いたもの。


周囲の人間からは普通の猫として扱われているが、
作中では猫自身の意識を反映して
少女の姿に擬人化された表現になっているのが特徴。


ただ、1980年頃の作品ということもあってか
少女漫画特有のフワフワした作風で
あまり面白みが感じられなかった。


猫を飼った経験がある人なら
想像していた猫の感情と少女が重なるのかもしれないが、
そういった思い入れがないと退屈に感じる作品。

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