白杖なしでは歩くことができない弱視の少女が
周囲から恐れられる凶悪な不良少年と出会う話。
ゆるいノリのマンガを元にしていることもあってか、
「誰もが怖がって逃げ出すほどのヤンキー」というより
単に顔にキズのある好青年にしか見えないが、
非常にほのぼのした微笑ましいやり取りが楽しめる。
また、さまざまな場面で視覚障害者が
どんな生活を送っているのかが描かれており、
極度の近距離や明暗だけはわかるという弱視が
どういう不便を味わっているのかが非常によくわかる。
健常者と比べて周囲の協力や配慮が必要なことが多く、
そのせいで敬遠されたり嫌われたりする場面があるが、
持ち前の努力や前向きさで乗り越えていく主人公と
それを支える不器用なヤンキーにグッとくる。
ずっと後を引くような嫌な人物が登場せず、
サクサクと気持ちよく観れる作風なのもよい。
主人公に関わる人たちの思いやりに救われる。
視覚障害という重くなりそうなテーマを扱いながらも
純粋で初々しい恋愛が味わえる良作。