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漫画貧乏

漫画貧乏

漫画貧乏

ブラックジャックによろしく」や
海猿」などの作品で有名な漫画家・佐藤秀峰が、
いくらマンガを描いても収入につながらない問題を説明したもの。
マンガ部分は最初の3分の1のみで、残りは文章での説明となる。

実際、さまざまと苦労や衝突があったのだろうが、
編集部に対する不満ばかりを並べたものなので
マンガとしての読後感はよくない。
作者が感じた不満もわかるが、
作者自身もかなり偏屈で付き合いにくそうな印象を受けた。

後半はビジネス書としての内容になり、
雑誌掲載に対する原稿料だけでは赤字になり、
いくらマンガを描いても貧乏のまま、という構造を問題視している。
漫画家としての支出額の例が頻繁に出てくるが、
内訳がアバウトで説得力が薄いため、
もう少し根拠となる情報を添えて欲しかった。

作者の憤りもわからなくではないが、
編集者や出版社の言い分も納得できる部分が多々あり、
すんなりと作者の意見を支持する気持ちにはなれない。
作者の言動からは自分の主張を押し通す強引さを感じるし、
トラブルメーカーのような印象も受けた。

作者が運営する「漫画 on Web」を作り上げていく流れは読み応えがあったが、
現状としてはよくあるオンラインコミックサイトとの違いを感じないし、
デジタルで読むならKindleをはじめとする電子書籍を選ぶ読者の方が多いだろう。

原稿を仕上げるために必要な経費を賄うために
原稿料アップは当然であると編集部に迫る作者が、
Webサイトの開発や維持に対するコスト削減の交渉する、というのも
どうにも筋が通っていないようでモヤモヤした。

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