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闇金ウシジマくん<全46巻>

どこの金融会社からも借りられなくなった客に
違法な利子で金を貸す闇金を題材にしたエグイ漫画。

ダメな人間の描き方があまりにもリアルで
金が絡んだときの嫌らしい部分が生々しく描かれている。
最初は絵も安定しないが、4巻あたりで一気にうまくなる。

ダメな人間の考え方、行動、借金を重ねていく様子が
読んでいて非常に怖い。とにかくズルズルとブレーキが効かずに落ちていく。
しかし怖いもの見たさでどんどん読んでしまう。

つまりは「ナニワ金融道」をもっともっとエグくした印象。
これを中学校ぐらいの教科書として読ませれば
ニートやフリーターがゼロになる気がする。

読んでいるうちにどんどん憂鬱になるので
落ち込んでいるときに読むと立ち直れなくなりそうだが、
人間の本質を垣間見れるオススメのマンガ。

以下、エピソードごとの感想。

●若い女くん(1巻)

OL仲間への見栄のために、自分の器以上の金を使っていく女性が主人公。
金銭感覚が崩れているとはいえ、一般的な生活を送っていた女性が
闇金に手を出してから一気に崩れ落ちていく流れがスゴイ。
最後はあまりにも悲惨。

●バイトくん(1巻)

プライドばかりが高く、いい歳をしてアルバイトで生活する男が主人公。
短いが、高齢のフリーターのリアルな姿が味わえる。

●闇金狩りくん(1巻)

闇金をカモにして金を稼ごうと企む輩が主人公。
他の話のように借金で苦しみながら人間の弱い部分を垣間見えるわけではなく、
調子に乗った者たちがしっぺ返しを食らうだけなので、やや単純。

●ヤンキーくん(2~3巻)

このあたりからエピソードが長編化していく。
ただ、このエピソードは長い割にそれほど面白さはない。
ヤンキー漫画やヤクザ漫画と同じようなノリ。

●ゲイくん(3~4巻)

本作の中でもっともイマイチなエピソード。
大きな山も興味を引く内容もない。

●ギャル汚くん(4~5巻)

イベントサークルを運営するチャラ男が主人公のかなり長いエピソード。
話の引きが強く、展開が気になってどんどん読んでしまう。
登場人物の魅力も高い。

●フーゾクくん(5~7巻)

3冊にまたがる相当に長いエピソード。風俗で働く女性たちが主人公で
風俗に関わる人たちのリアルな言動や、嫌な面が強く表れてて面白い。
本マンガの魅力をもっとも感じられるシナリオ。

●フリーターくん(7~9巻)

30歳を超えながらもフリーターで不安定な生活を送る男が主人公。
1巻の「バイトくん」を大きく膨らませたような内容。
これも素晴らしく面白いエピソードで、
責任逃れ、現実逃避、あらゆる愚痴、甘え、不安など
ダメ人間の描きっぷりが素晴らしく、
なるべくしてそうなった人間性を表現しまくっている。

●サラリーマンくん(10~12巻)

仕事に嫌気がさした2人のサラリーマンが主人公。
とにかく仕事に対する拒絶感がリアルで、
読んでて働くのが嫌になってくる内容。
特に営業職の最も辛い部分がありありと描かれている。
悪友のダメっぷりもすごく、とことんまで堕ちていく姿に目が離せない。

●タクシードライバーくん(12巻)

1話だけで完結する非常に短い作品。
どうなるのか、と先が気になる内容ではあるが、あっさり終わってしまう。

●出会いカフェくん(13巻)

コミックまるまる1冊で完結する話。
高校を卒業したばかりの女性が
出会いカフェを利用したことで話が展開していくが
途中から出会いカフェはほとんど関係なくなってしまう。
登場人物に魅力はあるが、最後は割とあっさり。後味は良い。

●スーパータクシーくん(14巻)

これも1冊まるまるで完結するエピソード。
2つ前にもタクシードライバーを主人公にしたエピソードがあったが、
今回は独特の気持ち悪さを持った個性的な男性が主人公。
限られた材料だけで、意外性のある後半の展開がよかった。

●テレクラくん(15巻)

久々に、どんどんと堕ちていく女性たちが主人公のエピソード。
目先の資金を稼ぐためにテレクラで体を売り、
稼いだ金を浪費して状況がますます悪くなっていく怖さが味わえる。
本マンガの毒の部分がよく出ている話。

●楽園くん(16~17巻)

読者モデルとして有名になりたい男が主人公のエピソード。
登場人物いずれもが非常に個性的で面白い。
これまでのエピソードの中でもキャラクターの立ち方はピカイチ。
プロのモデルではなく、読者モデルとしての不安や葛藤が面白く、
それぞれが堕ちていく様も素晴らしい。話の長さに見合う深さがある。

●ヤミ金くん(18~20巻)

珍しく、ウシジマくん自身が主人公とも言えるエピソード。
ウシジマくんの過去や、これまでの話で登場したキャラクターが
ちょくちょく出てくるので、ファンにとっては面白い部分もあるが、
強烈などん底ぶりを期待している読者にとっては
長い割にパンチに欠ける印象。もっと毒が欲しかった。

●トレンディーくん(20~21巻)

妻子がありながらも浮気に入れ込む男が主人公のエピソード。
さまざまな女性と関係を持ちつつ、
熟女に入れ込んでいく流れはなかなか面白かったが
結末がハッキリせず、期待ハズレに終わった。

●ホストくん(21~22巻)

ウシジマくんの元で働く高田が
瑠偉斗(るいと)という源氏名で働いてたホスト時代の話。
序盤はやや勢いがないが、ホストとしての地位を上げるために女性客に
ひたすら高い酒を注文させるよう企む流れが面白い。
そしてひたすら尽くして落ちぶれていく女性の崩れっぷりも壮絶。

●元ホストくん(23巻)

「ホストくん(21~22巻)」の続編といえるエピソードだが、
本マンガの特徴として、ウシジマくんの周囲の人物を題材にした
内輪なものはあまり面白味がない。このエピソードも同様。
展開がどうなるのか気になる部分はあるが、
一般のヤンキーマンガとあまり変わらないノリでやや退屈。

●生活保護くん(24~25巻)

ニート同然の若者が生活保護を受け、自堕落に生きるエピソード。
生活保護、不正受給、Twitter、ネット炎上など
最近の流行をたくさん盛り込んだ話。
終盤、いい話でまとまろうとしてやや勢いが落ちる印象があるが、
「ウシジマくん」の魅力でもあるエグさが強く出ている。

●洗脳くん(26~28巻)

北九州監禁殺人事件をもとにしたもので、
仕事と恋愛に悩む女性がある男性に言い寄られて堕ちていくエピソード。
どこにでもいそうなOLが、ちょっとしたきっかけで
ゆっくりとレールを外れていく様子が面白い。
悪い流れがジワジワと生活に入り込んでいくのがたまらない。

●中年会社員くん(29巻)

旬を過ぎて会社での居場所が危うくなり、
ビクビク過ごしている冴えないサラリーマンたちのエピソード。
毎度ながら嫌な人間を描くうまさには感心するが、
追いつめられた状況から逃げるためにやった行動が
さらに悪い結果を生むという主人公の堕ちっぷりが痛快。

●フリーエージェントくん(30~32巻)

日雇い派遣でギリギリの生活をしていた男が
情報商材販売でボロ儲けすることを夢見る話。
「秒速で1億を稼ぐ」のコピーで有名な
与沢翼をモデルにしたカリスマが登場するが、
その言葉に乗せられてズルズルと堕ちていく様子が面白すぎる。

●復讐くん(32巻)

いろいろな恨みを持つ過去のキャラクターが登場するが、
何も始まらないままで消化不良のエピソード。
再登場した人物たちの過去のやり取りは
一旦読み返さないと思い出せないし、短編としても楽しめない話。

●ヤクザくん(33巻~36巻)

前巻の「復讐くん(32巻)」に続く話で、ウシジマくんに関わるヤクザたちを描く。
これまでのような、借金にとらわれた極限状態のキャラがおらず、
単にヤクザの威張り合いを見るだけであまり面白くない。

●逃亡者くん(36巻~39巻)

沖縄での闇金たちを軸にしたエピソード。
舞台が変わっただけで代わり映えのしない貸金業の話かと思ったが、
地域が狭くて人間関係が近いという地域性を活かした話になっている。

●ウシジマくん(39巻~46巻)

「ヤクザくん(33巻~36巻)」につづく、
ウシジマくんとヤクザたちの抗争エピソード。
借金関連の話ではなくただの覇権争いだし、
本作特有の面白さがほとんどなくイマイチ。

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