作者が思う、意義のある経営をしている会社を紹介した本。
利益ばかりを追求するのではなく、大切にする存在を明確にし、
仁義ある経営スタイルの会社を応援する、という想いには共感するが、
作者の考える方向性に当てはまらない会社を全否定するような論調や、
回りくどく同じことを繰り返すような文章が序盤から目につく。
また、障害者を多く雇う会社を評価しているが、
言葉の端々に「障害者=弱者」と決めつけて
保護の対象としてとらえている雰囲気を感じ、
障害者を一人前扱いしないおごりのようなものが見えた。
利益を追求するばかりなのはよくない、という気持ちはわかるが、
その利益によって全社員の生活を支えている現実もあるはずで
人間味のある経営方針が必ずしも成り立つとは限らないだろう。
本書で取り上げられている例は美談かもしれないが、
自己犠牲の上で実現しているような部分が多く、
同じ方針で立ち行かなくなる会社もあるはずだ。
好調な業績を保っている会社の例のみを取り上げ、
博愛精神にあふれた会社がすべてうまくいくかのような表現など、
どうにも納得できない部分が多かった。